行政書士と遺言・相続のお仕事⑨

今日も一日お疲れさまでした🥵、お決まりですが、暑かったですねー!『行政書士のまさ』です!今日もよろしくです😄!
今回は、私ども行政書士がご依頼・ご相談いただく相続関連のお話しで、前回までの「遺産整理業務」に並んで多い『遺言業務』についてです。
『遺言』に関しては、近年テレビ・書籍等さまざまなメディアでも取り上げられ、セミナーなども開催されており、一般の方々にも少しずつ『遺言』の大切さが認識されてきたように思います。しかしながら、セミナーの参加者やご相談談に来られる方とお話をしていると、『遺言』に関して誤った認識を持っていたり、セミナー・ご相談に来られて初めて『遺言』に関して正しい認識を持たれたという方も少なくありません。私ども行政書士は、皆さんに最も近しい法律家として、市民の方々にとって一番身近な相続対策である『遺言』について、良いところ・悪いところをしっかりとお伝えして、トラブルのない安心をした相続をお手伝いしていきたいと考えています。
では、『遺言』を残しておくことのメリットからお話していきたいと思います。

1.『遺言を作成し残しておく』ことのメリット
①自分の希望通りに財産を相続人に残すことができます
自分の望み通りに財産を相続させたい場合は、財産の配分などを遺言書に明確に書き残すことで、大抵はご自身の意思通りの相続を実現することが可能になります。
ただし、後のトラブルを防ぐためにも、相続人の遺留分については十分に考慮して『遺言書』を作成する必要があります。
遺留分に関しては、このブログの【相続について知っておいた方が良い知識②】【相続に関する「民法改正」④】をご覧ください、詳しくお話をさせていただいています!

②遺産分割協議を経ずに財産の配分が可能になる
遺産相続では、基本的には相続人全員で遺産相続に関して遺産分割協議を行います、そして相続人全員の合意を経た後に遺産の配分が行われるのです。
デメリットとして、遺産分割協議で一人でも分割の内容等に反対する相続人がいたり、音信不通の相続人がいたりすることで遺産相続争いに発展してしまうことがありますし、それによって遺産相続の手続きがストップしてしまう可能性があることです。
有効な『遺言書』を残すことのメリットは、遺産分割協議を行わずに、『遺言書』の内容に基づいて遺産相続の手続きを行うことができることです。プラス、『遺言書』のなかで遺言執行人を指定していると更に遺産相続の手続きはスムーズに進みます。

2.遺言の種類によるメリットとデメリット
『遺言』には、特別方式(事故・人事災害などで身に危険が迫っているときに利用できる)と普通方式(通常時に利用できる)があります、通常時に利用できる普通方式にも、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3つがあります、行政書士が関わることの多い自筆証書遺言と公正証書遺言についてそれぞれのメリット・デメリットを簡略にお話していきます。
(1)自筆証書遺言
遺言者本人が全文・日付・氏名を自筆で書き、押印して作成します。
必ず自筆で書かなくてはなりません(パソコンや代筆は無効になります。ただし※一部例外があります)。
縦書き・横書きは自由です。
用紙も自由です。
相続が発生した後に検認手続きが必要です。
《メリット》
費用がほとんど掛かりません、手軽に書くことができます。
遺言を作成したこと、その内容を他の人に知られないようにすることができます(もちろん自分で周りの人に話したら無意味になりますよ(笑))
※一部例外に関しては、このブログの【相続に関する「民法の改正」③】をご覧ください、詳しく説明させていただいてます。
《デメリット》
遺言の内容が不備であったり、遺言が見つからないこと等があり、遺言の実現が不確実になります(私は、遺言者が遺言を書き残した意味がなくなり、とても辛く、悲しいことだと思っています)。
家庭裁判所で検認の申立ての手続きが必要です。
検認をしないで遺言を執行しますと5万円以下の過料に処せられます。
遺言があっても、遺言の方式に不備があると無効になる可能性あります。
『全文を自筆する』というのはなかなか大変な作業であり、特に高齢者には難しい時があります。
(2)公正証書遺言
■遺言者が高所人役場に出向き、証人2人以上の立会いのもとで作成します(公証人が遺言書を作成、遺言者は署名・押印をする)。
公証人が出張することも可能(別途費用が掛かりますが)、病室等でも遺言を作成することができます。ただし、遺言者が意思能力があることが前提です。
《メリット》
①公証人(法律の専門家です)があらかじめ遺言の方式や内容の実現性を確認しているので、確実に遺言を残すことができます。
公証人が遺言者の遺言能力の有無を確認しているので、この点について後程争われる可能性は低くなります。
家庭裁判所の検認は不要です(相続発生後すぐに遺言の執行ができます、相続人にとっても負担がなくなります)。
④遺産分割協議も不要です。
原本は公証役場に保管(20年間)されています、正本や謄本をなくされても再発行請求できますし、遺言の改ざん・紛失の恐れがありません
⇒故人が公正証書遺言を残していた場合、相続人等は公証役場に遺言が保管されているか照会すこともできます
《デメリット》
公証人手数料が掛かります。
遺言の内容を変えるにも手数料が掛かります(遺言者が気軽に内容を変えることは難しい)。
※公証人手数料の詳細は【行政書士中村まさひこ事務所 ホームページ→相続遺言業務→遺言書の種類→公証人への手数料の詳細】を参考にしてください!

以上が、自筆証書遺言と公正証書遺言のメリット・デメリットです、ご相談者の内容・状況によってどちらが良いかを相談しながら決めていきます。
しかし、余程のご事情がない限り、私は公正証書遺言をお薦めしております、今の遺言の制度の中で、確実に遺言を残せるのはこの公正証書遺言であるからです、そして遺言を書き残す一番の理由は、遺言者の意思を書き残し、それを実現させることにあると思っているからです。

今回はここまでです、お読み頂きありがとうございました!次回は、具体的な遺言書の作成についてお話していきます。次回もよろしくでーーーーーす!🤩