相続に関する「民法の改正」④

おはようございます! 昨日は暑かったですね、今日も暑いみたいです、水分を十分にとって熱中症等に気を付けて一日頑張ってください!
今回の『相続に関する民法の改正④』は、第4番目『遺留分制度に関する見直し』の情報を共有したいと思います。

『遺留分』とはどういったものなのでしょうか?
『遺留分』とは、法定相続人に法律上保障された一定割合の相続財産のことです、兄弟姉妹以外の法定相続人がその対象となります(遺留分の詳細については、わたくしのホームページ⇒相続遺言業務⇒遺留分ってなに?をご覧ください)。
被相続人は、自分の財産をどう処分しようと基本的には自由です、遺言によって誰に財産を残そうと自由なのです。
しかし、【相続】には、遺された相続人の生活を保障しなければならないという側面もあるのです、そこで、「被相続人の意思」と「相続人の保護」とのバランスを考えて定められたのが『遺留分』なのです。

今回の「民法改正」によって、この『遺留分』に関して見直しが行われたのです。

■遺留分制度の見直し(民法第1042条~第1049条関係)2019年7月1日施行

(1)見直しのポイント
遺留分減殺請求権から生じる権利を金銭債権化する遺留分侵害額請求権
金銭を直ちには準備できない受遺者又は受贈者の利益を図るために、受遺者等の請求によって、裁判所が、金銭債務の全部又は一部の支払いについて相当の期限を許与することが出来るようにする。

(2)制度導入のメリット
●改正前の『遺留分減殺請求権行使』には下記の2点の問題点がありました
遺留分減殺請求権行使によって相続財産の共有化が生じてしまう
これにより、事業継承の支障となる可能性がある。
遺留分減殺請求権行使によって生じる共有割合は、目的財産の評価額等を基準に決めるため、通常は、分母・分子とも極めて大きな数字となる
持分権の処分に支障がでる可能性がある。

例:経営者であった被相続人が、事業を手伝っていた長男に会社の土地建物(評価額1億1123万円)を、長女に預金1234万5678円を相続させる旨を遺言し、死亡した(配偶者はすでに死亡)。遺言の内容に不満な長女が長男に対し、遺留分減殺請求権を行使した場合

長女の遺留分侵害額は、(1億1123万円+1234万5678円)×1/2×1/2-1234万5678円=1854万8242円

制度導入により、2点が改善されました
①遺留分減殺請求権の行使によって、当然に共有関係が生ずることを回避することが出来るようになった。
遺贈や贈与の目的財産を受遺者等に与え・残したいという遺言者の意思を尊重することが出来るようになった。

上記例も、下記のように改善することで、事業承継もうまくいき、遺言者の意思も尊重する結果になります。

この『遺留分制度の見直し』によって、「事業継承がスムーズに進む」ことはもちろん、「遺言者の意思が尊重される」ようになったことは、とても意義のあることだと私は思っています!