令和3年3月6日に起こった、名古屋出入国在留管理局の被収容者死亡事案に対する改善策について、令和3年12月21日に出入国在留管理庁より「改善策の取組み状況」が報告されていますのでご紹介します。
改善策の取組状況
調査報告書で示されて改善策 | 取組状況 | ||
① | 「出入国在留管理の使命と心得(仮称)」の策定 | 策定に向けて全職員及び外部有識者の意見の集約中 | 取組中 |
② | 名古屋局における組織・運用改革 | 非常勤医師の増員、看守勤務体制の強化、被収容者の健康状態等に関する情報共有の再徹底等 | 実施済 |
③ | 被収容者の体調等をより正確に把握するための通訳等の活用 | 診療等において、原則として通訳人又は翻訳機器を用いるよう指示(大半の官署に翻訳機器配備済) | 実施済 |
④ | 収容施設の性質等を踏まえた計画的で着実な医療体制の強化 | 医師・学識経験者・弁護士による外部有識者会議を開催中 | 取組中 |
⑤ | 救急対応に係るマニュアルの整備と研修の強化 | 医療従事者等の意見も踏まえた救急対応マニュアルを作成中 | 取組中 |
⑥ | 過去の再発防止策の実施状況の点検再徹底 | 各官署の実施状況を点検の上、改めて再徹底を指示 | 実施済 |
⑦ | 体調不良者の仮放免判断に係る新たな運用指針の策定 | ⑦⑧の取組状況 ・体調不良者に対する柔軟な仮放免を指示 ・医療従事者等の意見も踏まえた具体的な仮放免判断の運用指針を策定中 | 取組中 |
⑧ | 体調不良者等の収容継続の要否を本庁がチェックする仕組み | ||
⑨ | 被仮放免者に関する民間団体との連携等 | 連携の対象先として適当な民間団体の情報収集中 | 取組中 |
⑩ | 本庁における情報提供窓口及び監察指導部署の設置 | ・「出入国在留監査指導室(仮称)」の組織・官職を要求(令和4年4月設置を要求中) ・新たな情報提供窓口の設置準備中 | 取組中 |
⑪ | 内規の周知徹底を含めたDV事案への適切な対応 | DV事案への適切な対応について改めて周知徹底を指示 | 実施済 |
⑫ | 支援者への適切な対応 | 対応窓口の統一化、各官署の運用を統一するための通知を発出 | 実施済 |
改善策に係る具体的取組1(実施済みであり、着実かつ継続的な実行に取組んでいるもの)
●改善策② 名古屋局における組織・運用改革
・医療体制強化
⇒非常勤医師の増員(1名→4名)
救急搬送・バイタル計測マニュアルの作成
新規収容者の健康診断実施 等
・被収容者の健康状態等の情報共有体制の構築
⇒被収容者の健康状態に関する一覧表を幹部職員と関係職員に共有
幹部職員と看護師等医療従事者との間の意見交換会の実施
幹部職員と現場職員との間の定例会の実施 等
・看守勤務体制の強化
⇒統括入国警備官の交代勤務による閉庁日の勤務体制の強化
看守勤務者の勤務体制の見直しによる疲労蓄積等の防止
●改善策③ 被収容者の通訳等の活用
・庁内又は外部診療時には、原則通訳を手配(緊急時など、手配が間に合わない場合、翻
訳機器を活用)
・被収容者からの体調不良の訴えには、翻訳機器を活用(意思疎通困難な場合には通訳を
手配
●改善策⑥ 過去の再発防止策の実施状況の点検と再徹底
・各官署で、過去の死亡事案における再発防止策の実施状況を点検し、適切な実践状況
を確認
・改めて、再発防止策徹底の指示(10月26日付け指示文書)
●改善策⑪ 内規の周知徹底を含めたDV事案への適切な対応
・入管庁長官から、全官署の幹部職員に対し、措置要領の周知徹底を含むDV事案への
適切な対応を指示
・全官署の事務監査を実施し、内規に基づく適切な対応を行うための体制構築などを確
認
●改善策⑫ 支援者への適切な対応
・全官署に対する事務監査を実施し、支援者等の外部からの申入れへの適切な対応状況
を確認
・官署ごとの実情を踏まえつつ、対応窓口、対応記録の作成方法等についての要領を改
訂
改善策に係る具体的な取組2(現に取組中のもの)
●改善策① 出入国在留管理の使命と心得(仮称)の策定
・全地方官署職員の意見を集約(計4回)
・本庁職員と現場職員との意見交換(東京、名古屋、大阪、横浜、東日本センター、大村
センターで実施)
・外部有識者(第7次出入国管理政策懇談会委員)からの意見聴取
⇒これらの結果を集約しながら、鋭意、検討中
●改善策④ 収容施設の性質等を踏まえた計画的で着実な医療体制の強化
・医師3名、国際法学者1名、弁護士1名の計5名による有識者会議を開催中
・現在、3回の会合と現場(東京局)の視察を実施済み
●改善策⑤ 救急対応に係るマニュアルの整備と研修の強化
・各官署の現場職員及び医師・看護師等の意見を集約しながら、鋭意、検討中
●改善策⑦・⑧ 体調不良者の仮放免判断に係る新たな運用方針の策定、体調不良者等
の収容継続の要否を本庁がチェックする仕組み
・運用方針の策定までの暫定措置として、体調不良者の柔軟な仮放免につき指示文書を
発出
・各官署の現場職員、医師及び看護師等の意見を集約しながら、検討中
●改善策⑨ 被仮放免者に対する民間団体等の連携
・現在、各官署に対し、連携実績のある民間団体等の有無についてのヒアリング実施中
●改善策⑩ 本庁における情報提供窓口及び監察指導部署の設置
・令和4年4月の設置に向けた組織・官職の要求中
・職員の業務遂行における不適切な対応等に係る情報提供を受け、調査・指導等を行う
ことを想定
調査報告書で示された改善策以外の取組
●調査報告書で指摘された問題点・改善点について、全官署において自己点検を実施(実
施済)
●被収容者に対する健康診断を迅速化(体調不良者は入所後速やかに実施⇒全ての被収容
者について入所後原則10日以内に実施(実施済)
●救急対応など真に必要な場合には、女性の被収容者への対応について男性職員の応援
を求めるよう指示(実施済)
●外部の医療機関を受診した際には医師からの聴取すべき事項を統一(実施済)
●被収容者が自由に使用できる生理用品を居室又は収容区に常備(実施済)
●弁護士・女性相談センター等の意見を踏まえた「DV事案に係る措置要領」の改正(作
行中)
●不服申出制度における判定結果の通知において、新たに、判定の理由を付記(実施済)
●各官署に対し被収容者に対する制圧方法の再点検指示(作業中)
※出入国在留管理庁 改善策の取組状況(令和3年12月21日)参照
以上のように「改善策の取組状況」が報告されています。
被収容者のみなさんが安全に過ごせる環境が一日でも早く確立されることを願っています。