お疲れさまでーす! 『行政書士のまさ』です、連休が終わって…っていうか、皆さんはまだお盆休みですよね!
今回は、前回お話しました通り『変態設立事項』について掘り下げてみます。
原始定款の相対的記載事項とされている『変態設立事項』は「危険な約束」とも呼ばれており、会社の財産的基礎を危うくする恐れがあるため、原始定款に定めて、かつ原則として裁判所の選任する検査役の調査を経なければ効力が認められないとしています(会社法28条)。この[変態]というのは変な意味ではなく「通常とは異なった」という意味で皆さんは理解していただければ良いと思います(笑)。
『変態設立事項』は、下記の4項目があります。
1.現物出資(会社法28条1号)
現物出̪資とは、金銭以外の財産による出資のことです。
出資が金銭でなされる場合は、その価値は明確ですから、出資者にそれに見合う株式を交付すれば何の問題も生じません。しかし、出資者の中には現物で出資する者がいるかもしれません、仮に1,000万円分の現物を出資したとしても、その価値が必ずしも明確とは言えません、そうすると、それが500万円の価値しかないのに1,000万円分の株式を与えてしまうと、その差額500万円分について会社の財産が空洞化してしまいますし、他の出資者との間でも不公平な結果になってしまいます。
そこで、このような弊害を避けるために、現金以外の財産の出資をする者の氏名又は名称、当該財産及びその価格、その者に割り当てられた株式数を定款に記載することを義務付け、記載がない場合は、現物出資は無効になるとしました。
2.財産引受(会社法28条2号)
財産引受とは、発起人が第三者との間で会社の成立を条件に会社のために一定の財産を譲り受ける契約のことです。この場合、発起人が目的物である財産を過大に評価し、第三者に不当に高価な対価の支払いを約束したときは、会社の財産的基礎が害されることになります、このような場合も、目的物である財産とその価格及び譲渡人の氏名(名称)を定款に記載させることとし、記載がなければその契約は無効であり、会社に効果は帰属しないとしました。この場合、会社側からだけでなく、当該財産引受契約の譲渡人の側からも無効を主張することができます。
3.発起人の報酬その他の特別な利益(会社法28条3号)
発起人は、会社設立の功労者ですから、その労務の対価としての金銭的報酬を得られるのは当然の権利です、しかし、発起人自身に報酬等を自由に決めさせるとお手盛りで不当な高額の報酬を決めて、会社財産が不当に流出する危険があります、そのような危険を避けるために、発起人が受け取る報酬や特別の利益、発起人の氏名、名称等は、原始定款に記載しておかなければ、その効力が認められないとされています。
・発起人が受け取る特別の利益とは…例えば、剰余金の配当の優先権とか会社施設の優遇利用を認めることなどです。
4.設立費用(会社法28条4号)
発起人が、設立中の会社の機関としてその期限内で支出した設立費用については、これを設立後の会社に対して請求することができます。しかし、設立費用として過大な請求がなされないように、設立費用については、原始定款に記載されたものだけを会社に請求できることとしています。
ここでいう設立費用とは、例えば、創立事務所の賃借料、株式申込書の印刷費用などのことです。
以上が『変態設立事項』の詳細になります、少しでもご理解頂けたら幸いです、次回も『まさ』は頑張ってまいりますので、またご覧くださいね!